品質を追求する情熱と成長の舞台裏〜①〜

品質を追求する情熱と成長の舞台裏〜①〜

左:Oさん/中央:Kさん/右:Fさん

導入:ベテラン・中堅・新人、三者三様の視点で語る品質の未来

私たちの生活を豊かにするデジタルプロダクトの数々。その影には、ユーザーが安心して使える「品質」を追求するQA(Quality Assurance)エンジニアの存在があります。本日は、品質保証の最前線で活躍するQAエンジニアリンググループ(以下「QAグループ」)から、経験年数も立場も異なる3名のメンバーをお招きしました。
QAエンジニア歴10年以上のベテラン、新規開発と後輩育成に奮闘する中堅、そしてQAの奥深さに触れ始めたばかりの新人。三者三様の視点から、普段の業務からグループの雰囲気、仕事のやりがい、キャリアパス、そして未来の展望まで、ざっくばらんに語り合っていただきます。
今回の座談会を通して、品質に対する情熱と、変化を恐れず成長し続けるQAグループのリアルな姿をお届けできれば幸いです。

<参加者プロフィール>
■ Kさん
入社年日:2024年7月1日 入社2年目(中途入社)
QAエンジニア歴:10年以上
医療機関向けシステムなど、多岐にわたる製品のQAを担当。長年の経験を活かし、上流工程からの参画で品質向上に貢献し、開発のチーム連携を強化するキーパーソン。グループ全体の品質戦略にも深く関わるベテラン。

■ Fさん
入社年日:2023年5月1日 入社3年目(中途入社)
QAエンジニア歴:3年目
グループの立ち上げ期から品質保証に携わり、現在は新規開発プロジェクトのテスト設計から実施、そして後輩育成にも尽力する中堅メンバー。JSTQB Advanced Level取得を目指し、日々スキルアップに励む。

■ Oさん
入社年日:2025年4月1日 入社1年目(新卒入社)
QAエンジニア歴:1年目
分析力と好奇心を武器に、クリニック製品のQAで活躍中。OJTを通じて実務経験を積みながら、座学で得た知識を実務と結びつけることに喜びを感じる新進気鋭のQAエンジニア。

テーマ1: QAグループの「顔」とは?〜雰囲気とコミュニケーションの秘密〜

インタビュアー

まずは、QAグループの雰囲気や特徴についてお伺いしたいと思います。皆さんの経験年数も踏まえて、入社前と入社後で印象の変化などがあれば教えてください。

Fさん

私たちのグループは、人数が少ない分、少数精鋭という特徴がありますね。だからこそ、コミュニケーションが非常に取りやすく、メンバー間の仲も良いと感じています。困ったことがあればすぐに相談できますし、お互いに助け合う文化が根付いています。 私が入社した当初は、まだQAグループが「ハード開発検証グループ」という位置づけで、開発者目線での検証が中心でした。それが今では、よりユーザー目線での品質保証を目指す形へと進化してきているのを実感しています。この変化は、グループ全体の意識が一段階上がった証拠だと思いますし、QAエンジニアとして3年目になり、その進化の過程を肌で感じられるのは大きなやりがいにも繋がっています。

Oさん

私も、Fさんがおっしゃるように、とても穏やかで、お互いに気遣いを感じられるグループだと感じています。話しやすい雰囲気なので、何か疑問があってもすぐに質問できますし、皆さんが俯瞰的に物事を捉えているので、的確なアドバイスをいただけるのがありがたいです。 入社前は、QAという仕事自体について「製品が世に出る直前の最終チェックをするグループ」という漠然としたイメージしかありませんでした。でも、入社してからは、QAが製品の品質を左右する重要な役割を担っていること、そしてユーザーの視点に最も近い存在であることが分かり、その奥深さに驚いています。研修や配属後には、製品の仕様を細かく確認していく中で、見るべき観点の多さにも衝撃を受けましたね。想像していたよりもずっと、細かく製品の仕様を確認する作業が多いことに驚きました。

Kさん

私もグループの雰囲気については、明るくて、メンバー間でもきさくに話せるのが特徴だと感じています。席も近いので、業務に関する相談事はもちろん、ちょっとした雑談もしやすいですね。 私のQAエンジニアとしてのキャリアは10年以上になりますが、この会社に入社する前の印象としては、各メンバーがそれぞれ異なるプロジェクトに携わっているため、QAグループ全体としての活動イメージが掴みにくい部分がありました。しかし、入社後はグループ全体でプロジェクトの情報共有や課題についてディスカッションを行う機会が多く、品質向上という共通の目標に向かって一丸となって活動している印象が強いです。特に、このグループではQAの重要性が高く認識されており、単なるテスト部隊ではなく、品質戦略の要として機能していることを実感しています。前職での経験と比較しても、現在のグループは、より上流工程からの関与が深く、品質を作り込む文化が根付いていると感じています。

インタビュアー

皆さん、グループのコミュニケーションの良さを挙げていらっしゃいますね。特にベテランのKさんから見て、このグループのコミュニケーションにはどのような特徴がありますか?

Kさん

経験上、QAグループは開発チームとの連携が生命線となることが多いのですが、このグループではその基盤がしっかりしています。定期的に行われるQAミーティングではブレーンストーミングを取り入れ、自由に意見を出し合い、活発なコミュニケーションを図っています。工夫している点としては、他の方となるべく内容がかぶらないように、常に多様な視点から意見を出すことを意識しています。そうすることで、議論が深まり、より良い結論にたどり着けると信じています。

Fさん

Kさんからは、私にはない様々な視点の意見を聞くことができているので、とても参考になっています。基本的に、日常のコミュニケーションはチャットツールを使っていますが、出社している時は固定デスクでメンバーが固まっているので、直接会話することも多いです。あとは、月に一度、各プロジェクトの進捗報告会を開催していますし、グループ全体で何か決め事がある場合は、不定期でミーティングを開いて情報共有や意見交換を密に行っています。特に若手のメンバーが入ってきてからは、より一層、質問しやすい雰囲気作りを心がけていますね。

Oさん

私は、なるべく顔を見て挨拶することを意識しています。プロジェクトが異なると、どうしても話す機会が少なくなりがちなので、挨拶一つでも丁寧に、笑顔で交わすように心がけていますね。それから、プロジェクトが異なるメンバーとの交流を増やすために、皆さんがこれまでQAで経験してきた話や、今後やってみたいことなどを積極的に聞くようにしています。先輩方の経験談は、自分にとって貴重な学びの機会になりますから。実際に、先輩方がどんなQAを行ってきたのか、どんな経験をしてきたのか聞くことで、自分のキャリアを考える上でも参考になっています。

インタビュアー

ありがとうございます。QAグループは女性メンバーが多いという特徴もありますが、そのことでグループの雰囲気や働きやすさに何か影響はありますか?

Fさん

女性メンバーが多いことで、ワークライフバランスやキャリアに関する相談がしやすいと感じています。やはり同じ女性の目線で話ができるので、共感できる部分も多く、安心して相談できますね。育児との両立など、具体的な相談もしやすいです。

Oさん

私も、この点は強く感じます。グループ全体の空気感が柔らかいというか、緊張する場面でも、女性特有の細やかな気遣いがあるおかげで、プレッシャーが軽減される気がします。感情の機微を捉えるのは女性が秀でている部分もあると思うので、そういった点でコミュニケーションもより円滑になっているのではないでしょうか。新人の私にとっては、とても働きやすい環境だと感じています。

Kさん

私個人の意見としては、特に性別による影響は感じていません。性別に関わらず、メンバーそれぞれの個性や能力がグループの雰囲気を形作っていると考えています。ただ、女性が多いことで、より細やかな視点での配慮が生まれることはあるかもしれませんね。結果的に、誰もが働きやすい環境になっているのだと思います。重要なのは、性別ではなく、お互いを尊重し、協力し合えるメンバーが集まっていることだと感じています。

インタビュアー

それぞれの視点から、グループの雰囲気を語っていただき、大変参考になりました。コミュニケーションの密さや、お互いを尊重する文化が、少数精鋭ながらも強いチームワークを生み出しているのですね。経験年数が異なる皆さんが、それぞれの視点でグループの良さを語ってくださることで、多様な魅力が伝わってきました。

テーマ2:品質への貢献と成長の軌跡〜私たちの仕事とやりがい〜

インタビュアー

次に、皆さんがQAグループの中で担当されている業務内容について教えていただけますか?また、自社の製品を作り上げていく過程で、QAグループがどのような部分で強く貢献できていると感じるか、達成感や苦労したエピソードも交えてお聞かせください。

Fさん

私は現在、新規開発プロジェクトにおいて、テスト設計からテスト実施までを一貫して担当しています。加えて、QAの後輩育成にも力を入れており、今年入社したOさんを一人受け持ち、OJT(On-the-Job Training)の形で同じプロジェクトに入りながら、実務を通して学びを深めてもらっています。 QAグループとしての貢献は、要所要所で品質を向上させる活動ができている点だと感じています。例えば、開発の初期段階で仕様の曖昧な点を発見し、開発チームと議論して明確化することで、後の手戻りを防げた時などは、まさに品質向上に貢献できたと実感できます。ただ、私たちの仕事は「目に見えない、表に現れづらい」部分が多いので、その貢献を実感しにくい時もありますね。でも、それが製品の安定稼働やユーザー満足度に繋がっていると信じていますし、その積み重ねが、より良い製品を生み出す土台になっていると思っています。

Oさん

私は今、勉強のためにFさん含む先輩の業務を手伝う形でQAの仕事に携わっています。主にクリニック製品に関するQAで、テスト観点の作成から、実際に実機を使ったテストまでを行っています。 QAグループの貢献としては、やはり「ユーザー視点」での品質向上だと感じています。例えば、画面遷移がスムーズか、利用者が迷わずに操作できるか、開発された機能がユーザーの実際の行動に即しているかなど、開発者目線では見落としがちな部分を私たちが想像力を働かせ、より良い製品になるよう貢献できていると思います。先日、電子マネーの処理未了(決済の途中で通信が不安定になったり、カードを離すタイミングが早かったりして、決済が完了したのか不明な状態)のテストで、実機を使って何度も試行錯誤し、最終的に原因を特定して不具合を報告できた時は、大きな達成感がありました。先輩がその仕組みまで丁寧に教えてくださったので、ただ不具合を見つけるだけでなく、深く理解できたことも嬉しかったです。

Kさん

私は医療機関向けの受付機システムにおけるQA業務を、テスト計画の策定から試験実施まで幅広く担当しています。QAエンジニア歴10年以上の経験から言えるのは、QAは単なる「品質チェック」ではなく、「品質を作り込む」役割であるということです。 QAとして強く貢献できていると感じるのは、プロジェクトの上流工程、具体的には要件定義の段階から参画し、仕様や機能についてQAの品質的な観点から提言できることです。実際に提言した内容が機能として実装されたり、不具合を早期に発見することで、開発側での手戻りを防げたりした時は、大きな達成感がありますね。これが、品質を作り込むということの醍醐味です。 苦労した点としては、スクラム開発の特性上、短期間で開発が進むため、当初はQAのテスト期間が十分に確保できないことがありました。しかし、スクラム開発の中盤あたりからグループ間での連携を改善し、プロジェクト全体で製品を作り上げていくという意識とプロセスを改めて学ぶことができ、非常に良い経験となりました。QAは開発プロセス全体に関わることで、より大きな価値を提供できると改めて実感しました。この経験は、QAが開発チームの一員として、早期から積極的に関与することの重要性を再認識させてくれました。

インタビュアー

皆さんそれぞれ異なる製品や役割で貢献されているのですね。特に、Fさんの後輩育成、Kさんの上流工程からの参画、Oさんのユーザー視点といった具体的な貢献の話は、QAの仕事の多様性を示していると思います。後輩育成の話がFさんから出たのでもう少し掘り下げてお聞きしたいのですが、Oさんを育成する中で、どのようなことを大切にされていますか?また、ベテランのKさんから見て、後輩育成で最も重要なことは何だと思われますか?

Fさん

Oさんのような後輩には、「自ら考え、意見を主張できる」人になってほしいと強く思っています。QAの仕事は、基本的に各プロジェクトに一人ずつアサインされることが多いので、QAとしての意見をしっかりと主張できないと、その役割を十分に果たせなくなってしまいます。 OJTでは、私自身の発言や行動について、「どういった考えがあって、なぜそうなったのか」という背景まで説明し、結果だけでなく過程を理解してもらうように努めています。そうすることで、自分で考える力を養う手助けになればと思っています。若手メンバーが入ってくることで、グループ全体に活気と新しい視点がもたらされるといったこともあり、特に、OJTで指導している新卒のOさんのようなフレッシュな視点から、既存の業務プロセスや考え方について質問を受けることで、私たちメンバーも改めて業務を見つめ直す良い機会になっています。また、若手メンバーの成長を間近で見られることは、私自身のモチベーション向上にも繋がっています。

Oさん

FさんのOJTは、本当にありがたいです。質問したことに対して、ただ答えを教えてくれるだけでなく、その理由や背景まで丁寧に説明してくれるので、理解が深まります。先輩方が担当しているプロジェクトに一緒に入って、実際のQAの仕事を見ながら学べるのは、座学だけでは得られない貴重な経験だと感じています。様々な実機に実際に触れて試せるのも、QAグループならではの魅力だと感じています。特に、処理未了のテストの件では、単に不具合を直すだけでなく、その通信の仕組みまで教えていただいたことで、より深く理解できました。

Kさん

私もFさんと同じく、後輩育成においては、”なぜそのテストが必要なのか”など、メンバー自身がテストの目的を論理的に考え、テストを設計できるようなアドバイスを心がけています。テスト設計や不具合検出スキルだけでなく、QAエンジニアの一員として、常にプロセス改善の意識を持ち、実践的に業務知識を習得できるようなサポートを心がけています。対話を通して、後輩が何に躓いているのか、悩んでいるのか、そして何を求めているのかを把握し、状況に応じて対応するようにしていますね。また、作業を行う上で、”何故その作業が必要なのか”といった点について、メンバー自身が考え、自ら答えを見出し行動できるようなサポートを心がけています。 長年の経験から言えるのは、QAエンジニアの成長には、単に技術を教えるだけでなく、「QAとしての役割に誇りを持たせること」が最も重要だということです。自身の仕事がチームや会社に与える価値、そして自身が品質改善に貢献できた点を振り返り、認識させることで、モチベーションを維持し続け、自律的な成長を促すことができると考えています。

インタビュアー

後輩の皆さんが自律的に成長できるよう、手厚いサポートがあるのですね。非常に素晴らしい環境だと感じました。経験年数の異なる皆さんが、それぞれの視点で後輩育成の重要性を語ってくださることで、グループ全体で人材育成に力を入れていることがよく分かりました。

品質を追求する情熱と成長の舞台裏〜②〜に続きます。